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前払費用などの経過勘定を図解解説

今回は簿記で初心者がつまづきがちな前払利息などの経過勘定項目について説明していきます。
未収利息や前払家賃などの経過勘定が出てくるのは、発生主義の原則というものがあるからです。

 


発生主義の原則:

お金をいつ払ったかに関係なく、効果が出たときに費用や収益を計上しましょうというルール


 

経過勘定が必要ないケース

例えばCMを流すために100万円出したとして、その公告の放送が今期行われるならもちろん今期の広告費となります。

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経過勘定が必要となるケース

CMの代金100万を既に支払ったが、CMの放送が来年の夏に行われる場合は、CMの効果が出るのは翌期となります。

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よって今期ではなく翌期に広告費を計上する。

 

 

このような場合、現金の支払いタイミングと費用が発生するタイミングにズレが生じます。

ズレが存在していることを示し、翌期以降にズレを解消させるために使うのが前払費用をはじめとする経過勘定項目です。

 

 ここでややこしいのは、支払時には前払い等を考えないことです。

このケースの場合も代金の支払い時の仕訳はこのようになります。

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 では、いつ広告費が前払であると表示するかというと「決算整理」において行われます。

決算整理では最終的な財務諸表作成に向けて間違っている仕訳などが修正されます。

上の広告費100万も放送されるのは翌期なので、当期の費用として計上しているのはおかしいということになります。

そこで同額の広告費を反対に立ててやることで当期の広告費を消してやります。

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そして相手方にはズレが発生していることを示す科目――経過勘定項目を入れてやるのです。

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当期の処理はここまでです。

残りは翌期の処理となります。

ここで先ほどの図をもう一度見てください。

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翌期は代金の支払いがありませんが、支払の効果が発生し、CM放送がはじまります。

つまり、代金の支払いはないけれども費用の計上が必要だということです。

そこで活用されるのが、前年度に計上した経過勘定項目の「前払費用」です。

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このように決算整理で行ったのと逆の仕訳をしてやることで、広告費を認識し、前払費用の残高を消してやることができます。

 

 ポイント

・経過勘定は発生主義があるから存在する

・代金の受け渡しと効果の発生する期が異なるときに経過勘定を計上する

・代金の受け渡し時には、通常の費用科目で処理する

・決算整理にて経過勘定に振り替える

・翌期には決算整理と逆の仕訳をしてやることで、その期の費用に反映させる